化学物質過敏症のご相談事例(S様・工事編)

今日は前回に引き続き、化学物質過敏症の方のご相談事例、その工事編をお伝えします。

前回の記事はこちら↓

化学物質過敏症のご相談事例(S様・症状の確認編)
今回は化学物質過敏症の方からいただいたご相談事例を紹介します。 その方との出会いは、私の知人からの紹介でした。 家を建ててから家族みんな具合が悪くなったという知り合いの人がいるので相談にのってほしい ...

 

「良くなりました」との連絡から1年

S様から「おかげさまで良くなりました」と報告があり、ひと安心していましたが、再びS様から電話がありました。

 

至急相談したいことがあるのでお時間ありますか?

 

以前と同じ症状になり、以前より悪化してしまいました。
どうしたらよいでしょうか?

 

S様も症状を改善したいと思い、シックハウス症候群を研究している大学や、シックハウス症候群に理解のある様々な病院を訪ねており、その結果「化学物質過敏症」であると診断されたそうです。

専門病院での処置を受けてみても一向に症状が良くならなかったため、私にご連絡をくださったということでした。

 

工事内容の提案をさせていただいたところ、「わかりました、すべてお任せします」とご依頼を受け、工事を行うことが決まりました。

いざ工事が決まりましたが、ここからが大変でした。

S様の症状は以前より悪化している様子で、さらには愛犬まで同じように発症していました。

工事にあたっては一時的に引っ越していただく必要があったのですが、「何とか住んだままでの工事をお願いしたいのですが…」と依頼されたため、方法を考えるのに1週間ほどのお時間をいただきました。

 

最初にすべきことは「話を聞く」こと

いきなり工事を始めるのではなく、まずは相手の症状をしっかりと把握することが必要です。

  • どんな仕事を何年くらいしていたか
  • 新聞紙、雑誌は読めるか
  • 昼の外出はできるか(重症の方は紫外線などにも反応しやすい傾向があります)
  • 買い物はできるか
  • 化粧品、洗剤は使えるか
  • 携帯、パソコンは使えるか(重度の化学物質過敏症の方がよく発症する電磁波過敏症というものがあります)
  • 花粉症(米やスギ花粉)はあるか
  • ぜんそく、アトピー、アレルギーはあるか

 

ざっと大まかに挙げるとこのようなことを確認しますが、他にも何か反応するものがあるかどうか確認が必要です。

S様についても上記についてお話を聞いた結果、

  1. 家中にある反応物質(芳香剤、化粧品、湿布薬、洗剤、印刷物等多数)の処分
  2. 生活に必要な最低限の荷物だけ残し、引っ越し業者による移動と保管依頼
  3. 作業空間の排気扇の設置
  4. 使うすべての材料に処理した上での反応確認

これらの事項について確認・了解をいただき、作業を開始しました。

 

行った工事内容

  • 壁紙の撤去
  • 床下には排気用換気扇の設置
  • 屋根裏は噴霧器による処理
  • フローリングはリバースワックス塗布
  • 壁にリバースコート(珪藻土)塗布
  • 襖は紙を剥がしてシーラー処理し、リバースコートを塗布
  • 各部屋には同時吸排気型換気扇の設置(季節と体調により稼働)

 

およそ工事期間30日かかり完了。

現在も住んでいただいておりますが、湿度の高いときなどは連絡があります。

その原因を探すと床下の湿度からくる残留化学物質でしたので、またもシーラー噴霧で処理して一件落着。

 

S様とのその後のお付き合い

こんなお付き合いをしながら数年後、「外壁と屋根が傷んだので全部塗装したいのですが、社長しか頼むところがありません」とのご連絡。

数日後、ご依頼の外壁屋根の塗装リフォームも工夫をしながら、すべて完了しました。

このときに一工夫した加湿器の設置も完了しました。

最後にS様から「私たちのことを理解してくれるのは社長しかいません、長生きしてください」とありがたいお言葉をいただき、現場を後にしました。

このごろはS様からのご連絡はあまりありませんが、「便りがないのは良い便り」といいますので、それが一番です。

S様以外にも、このようにお悩みの方とのお付き合いはこれからも続いていくと思います。